ザ・業界人
     
第81回
海津 博氏
JU中販連会長

 JU中販連の海津博会長に2023年の振り返りから、今後注力していく事業、あるいは2024年の抱負など、様々な話を聞いた。(2023年12月上旬に取材、ユーストカーNEWS 2024年1月号より)


Q.まずは2023年の中古車業界を振り返って
「大手販売店に端を発する各種報道は、中古車業界を大きく揺るがした。この問題が業界に及ぼした影響は大きく、ユーザーの中古車専業店に対する見方が、厳しくなったことは間違いないだろう。これも徐々に払拭されてはきているものの、実際には、まだ完全に戻り切れていないと感じている」

Q.JU中販連としては、どのような信頼回復を図っているのか
「様々な施策を打ち出してきたが、そのひとつとして、新聞を利用した意見広告を出稿した。これを各商組でも活用しているところもある。また、業界の信頼回復に向けたYouTube動画を製作し、それをユーザー向けに展開している。
 こうしたなか、昨年10月からは、中古車の支払い総額表示がスタートした。ちょど良いタイミングでの開始とも言えるが、これをユーザーへ広く定着を図っているところだ」

Q.支払い総額表示について、開始後の状況は
「販売方法の不明瞭な価格表示では、お客様も分かりにくく、不信感にもつながってしまう。これが今回、車両本体と諸経費や代行手数料などを含めた表示方法となったため、プライスボードを見ただけで極端に値段の差があるというのは、徐々に減ってきていると推測される。
 総額表示になって約3ヵ月が経過したが、お客様もまだ分かっていないところもある。我々がすべきことは、ユーザーへの認知を図ること、そして『総額表示になって安心ですよ』というのを伝えていくことだ」

Q.総額表示について、販売店側に対しての働き掛けは
「販売店には総額表示のノボリ旗を店舗で掲示していただくこと、そのほかYouTubeを利用して、お客様に見てもらえるような素材を製作し、それを配布している。実際、私のところのJU新潟でも各店にその素材を渡して、店舗側で、お客様に対してお知らせするという取り組みを始めた。
 また、ユーザーの信頼確保に関連する話として、いまは中古自動車販売士とJU適正販売店制度を、改めて認識していただく良い機会だと考えている。お客様に疑念を抱かれるようなお店ではないですよ、と自らが宣言してもらうのが適正販売店。だからこそ会員の皆様には積極的に参加して欲しい」

Q.適正販売店の現状は
「いまも少しずつ増えており、2023年12月上旬現在で認定店数は1490社、割合ではJU中販連の会員の約13%。これを3割には持っていきたい。ただ、中販連の会員は買取りや輸出を主とする事業者もいるので、小売り店だけでみたら、認定店の割合はもっと大きいものと思われる。
 この適正販売店では、よくメリットの話が出るが、それは自らが生み出すもの。そもそも認定店になること自体がメリットだからだ。 
 適正販売店の旗を掲げるのは、適正な商売をしています、という責任を負っていること。だからこそ、この制度を今後も推し進めていかないといけない」

Q.メリットの話も含め、この制度は今後どのような展開が考えられるか
「認定店の中で、もう少し差別化をするのも、ひとつのやり方かと思う。もう少し数が増えれば、適正販売店の全国ネットワークの構築も可能だ。
 我々の商売では、全国のお客様に車を納めるのだから、そのネットワークを使って、メンテナンスやアフターサービスを他の認定店に依頼ができるような体制づくりも良いと思う」

Q.では今度は組織事業全体について。当面はどこに注力していくのか
「やはり信頼回復と小売りだろう。お客様がJUショップに足を運んでいただくには、ブランド力を上げることが重要だ。ただ、全体的にそれを上げていくのは、なかなか難しいので、適正販売店を軸とした小売り施策を検討していく。
 あとは、JUコーポレーションとの関係を一層強化。とくにJUテントリのより有効な活用を模索していきたい」

Q.その例を挙げると
「いまは販売店の自主検査でテントリに掲載しているが、例えば、研修を受けた人には、お店のその人の名前でテントリにアップして、点数も付けられる仕組みも良いのではないか。あるいは、それをオークションの検査に反映できないかと。そうすれば、もう少し小売りとAAの車の流れが変わると思われる。
 物流の2024年問題では、小売り店の経費や車の納期にも影響することが懸念される。AAでも車を会場に運ばずに、もっと売れる仕組みを考えていかないと。そのためにも販売店の検査のスキル向上は必要だろう」

Q.さて、業界の次世代を担う青年部の増強や育成も組織としては重要な課題。若い人たちへのメッセージは
「将来、この中古車業界がどのように変わっていくのか、それを我が事として、日頃から模索していっていただきたい。今後、我々の業界がこうなったら、自社ではどうするのか。重要なのは、いまの若い人たちが、どういう業界にしたいのか、というこだ」

Q.では最後に、新年の抱負について
「2024年という1年に限ったことではないが、この1期2年、現在の執行部体制で、目の前にある課題を解決していくこと。それがまずひとつ。
 それと、JUコーポレーションが取り組んでいるDX化は、スケジュール通り進んでいる。最終的には、これを各商組のオークション事業の役に立てるように構築していくことだが、それに対しても、しっかりと取り組んでいく」

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