ザ・業界人
     
第68回
佐藤 博氏
日本中古車輸出業協同組合 理事長
























 コロナ禍に翻弄された昨年。それは中古車輸出にとっても同様で、未だ元の状態には戻っていない。そんな先行き不透明ななか、今年はどうなっていくのか。今号では、日本中古車輸出業協同組合(JUMVEA)の理事長であり、43年の歴史を誇る山銀通商株式会社の佐藤博社長に聞いてみた。


昨年の中古車輸出を振り返って
「コロナが広まった当初は、あのリーマンショックの再来かと思った人も多かっただろう。しかし、6月から徐々に盛り返して結果的には18%の減少で収まった」


ダメージがリーマン時ほど大きくならなかった理由とは
「ひとつは、為替がリーマン時と比べて5%程度しか動かなかったこと。もうひとつは、日本製中古車に対する根強い信頼度だ。海外の多くの国々で「日本から来る中古車は壊れない」ということが浸透しており、それが改めて浮き彫りになった」


今年、期待が出来る地域は
「西アフリカが増えてきている。この地域は今まで右ハンドル車の輸入が出来なかったが、ハンドルコンバージョンでOKという国が広まってきた」


日本製中古車のニーズが高まっている
「現地で新車が売れなくなるとの理由で、中古車の輸入を規制するケースは色々な国々で見てきた。しかし、人為的に止めても、日本からの中古車が来ないと困る方々が沢山いるから開かざるを得ない。それと同じことが今、アフリカで起こり始めていると思う」


これまでは何故少なかったのか
「アフリカは旧フランス領の国が多く、フランス車、左ハンドル車にこだわってきた。コートジボアールなどはフランス車ばかり走っている。しかし、近隣の旧イギリス領の国々では圧倒的に日本車が人気。その影響で右ハンドルOK、ハンドルコンバージョンOKの国が増えてくるのも自然の成り行きだろう」


これから増えると思われる国々は
「ガーナ、ナイジェリア、アンゴラ、コートジボアール、ギニア、ダカール、セネガル、カメルーンといった国々だ」


アフリカ以外ではどうか
「オーストラリアも有望なターゲットだ。年間100万台の販売台数があって、そのうちの99%が新車だ。これが中古車と半々とでもなれば、50万台という巨大なマーケットが出現する」


その可能性は
「まだまだ政府のガードが固いが、その時期は確実にやって来ると思う。国民から日本製中古車に対するニーズがもっと顕在化してくれば、政府も動かざるを得ないだろう。個人的には時間の問題だと考えている」


中古車輸出の今後について
「モンゴルのような例もあるが、人口が300万人しかいないのに、昨年は5万台以上も日本から輸出された。人口比で言えば、そうした国はまだまだ世界中にあるのだ。将来的には、とても年間130万台という規模では収まらない大きな可能性を秘めている。我々の手がけている中古車輸出というのは、そういう夢のある商売だと思っている」



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