ザ・業界人
     
第75回
大畑 智氏
(株)オークネット 常務執行役員オートモビル事業部門DM





















『キャンペーン価格をそのまま定価に改訂
 注目を浴びる共有在庫市場
より売り買いがしやすいマーケットへ』


 共有在庫市場において「サンキューキャンペーン」を8月末まで展開したオークネット。落札料を3900円と大幅に値引きしたこの企画は、好評のまま終了した。
 そして今度は、このキャンペーン価格をそのまま定価にするという大胆な施策を打ち出した。これについて、常務執行役員オートモビル事業部門DMの大畑智氏に話を聞いた。


 まずは、サンキューキャンペーンの内容について振り返ってみたい。これはオークネットの2大流通市場のひとつである共有在庫市場において、プレミアム会員の台当たり落札料を3900円とした特別企画だった。
 通常の落札料は、1万8000円から最高3万円までのため、かなりの割引率であったことは記憶に新しいが、このキャンペーンを打った理由は「深刻な中古車のタマ不足のなかで会員の仕入を支援したいという想い、そして、会員への感謝の気持ちを込めて実施しました」というものだった。
 この結果については、「実施前に比べてお蔭様で問合せ件数は倍増し、事業態によっては落札台数が300%超となっています」。もちろん、現在の市況による増加もあるだろうが、「いまはオークションで買えなかった会員が共有在庫で探すという動きがあり、このキャンペーン価格が落札を後押しした面もある。とくに輸出事業者の買いは活発でしたね」と語る。

 そんな成果がみられた特別企画だが、9月からはキャンペーンの延長ではなく、それを定価にするという。この意図について大畑氏はこう話す。
「やはり感謝の気持ちです。当社は会員あってのビジネスであって、常に感謝の気持ちを忘れずに、ということですね。引き続き自動車業界は厳しい状況にあるので、この新たな定価で今後も仕入に活用していただければ」。
 続けて、「会員に買い続けていただく、ということは、売り手側にとってもメリット。当社としては、この共有在庫をそれだけ売れる市場、そして買いやすい市場にすることをめざしています」と話した。
 ちなみに、この落札料改訂と同じく9月1日からは、プレミアム会員の共有在庫市場の成約料も1万4000円へと引き下げ。業界最安値の新定価にすることを決めた。

【サービスを一層拡充】

 このように、より使い勝手の良い市場構築を進めている同社であるが、共有在庫市場について、今後はどのようなことに着手するのかを聞いた。
 まずは買う側のサービスについて。同社の共有在庫市場といえば、AIS検査付きが特長だ。割合ではAIS検査付き車両が4割、その残りが自己申告というが、後者にAIS検査を付けることができる『リクエスト検査』のサービスを実施している。
 さらに、買い手の役に立つサービスとしては、検査員と電話で話しながら状態確認が可能な『下見ホットライン』も実施。同社では、この両サービスの一層の認知を図るため、今後キャンペーン展開も計画しているそうだ。

 一方で、売り手側に目を向けたものとしては、共有在庫市場の売り専用アプリを10月にリリースする予定だ。
 これにより、パソコンを立ち上げずに公開設定や在庫の削除のほか、一撃出品や価格変更といった在庫管理がスマートフォンで簡単に出来る。
 加えて年内を目処に、AIS検査付き車両の情報について、出品店が変更できる項目を増やすという。
「利用する会員が煩わしいと思うような作業を解消。そうした改善・改修を重ねていくことで、利便性をさらに高めていきます」と話す。

【AA並みに買いやすく】

 こんな具合に、今後の取り組みをざっと紹介したが、それ以外にもクレーム規約の変更など、細部に至るまで随時改修。しかもそれをスピーディに行なっている。
 その理由は単純明快で、「会員にとって、共有在庫市場での取引がよりしやすいように、ということです。オークション並みに買いやすい市場にするためにはどうしたら良いのか。それを常に考えて取り組んでいる。もちろん、今回の定価改訂もその一環です」。

 オークションで車が少なくなっているいま、共有在庫をアピールするには絶好の機会でもあるが、今後については「この手数料改定を第1弾として、これからも第2弾、第3弾の矢をうっていきたいですね」と話す大畑氏。
 今後の動向に注目したい。


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