ザ・業界人
     
第80回
東馬 圭一氏
荒井商事(株)取締役オークションカンパニー長

『オークションを長期的に継続するビジネスへ』


【序章】
 アライオークションの陣頭指揮を執って約2年。豊富な経験を活かした手腕を随所に発揮し、商材別のセリ開催実現など、オークションをより進化させてきた。
 そして今月には、遂に名古屋会場がオープン、新たな挑戦が始まる。今回は東馬圭一氏の横顔を紹介しつつ、オークション事業全般の話を聞いた。

【東馬氏へのQ&A】
Q.まずは経歴について。三菱商事時代は、主にどのようなことをしていたのか
東馬氏 入社以来、機械畑のビジネスをずっと歩んできた。最初は工場の生産設備で、その後は建設機械、農業機械、フォークリフトにも携わった。建機に関しては、子会社のレンタルのニッケンの仕事も担当。そのほか、日立建機と一緒に中国での工場開設に携わるなど、色々と経験してきた。

Q.自動車に関しては
東馬氏 乗用車やトラックの仕事もしてきた。とくにトラックでは、いすゞとの合弁事業が海外で幾つかあって、最も大きなものでは、タイでの販売、生産も行なった。
 そして、三菱商事を定年退職した後は、三菱オートリースへ。結果的に、アライオークションの取り扱い商材は、これまでほとんど関係してきた。

Q.その後、荒井商事に入社して、初めてオークションを見た感想は
東馬氏 小山会場では、多くの外国人会員が居たことに驚いた。あとはセリのスピード。出品4000台以上が夕方には完了している。この品目数をその時間でさばいているのは、すごいと思った。

Q.これまで約2年間オークションを経験して、改めて思うことは
東馬氏 社会的機能として必要なものだと痛感している。中古車に一定程度のバリューを残して、一連の流れをうまく繋いでいく仕組み、二次流通の社会インフラを担うという意味で、オークションは大変大きな意義を持つものだと思う。逆に言うと、オークションがなければ、絶対に困るということだ。

Q.オークションの業界自体に関しては
東馬氏 業界外の人、一般消費者の目線でみた時に、二次流通の世界はブラックボックス化している。オークション会社が何をしているのか、知らない人がほとんどだろう。中古車流通の仕組みがどのようになっているのか、活動を通じてもっと知らしめても良いと思う。

Q.では、今度はアライオークションの話。全会場で複数商材を扱うマルチ化を進めているが
東馬氏 会員のニーズによって取扱い品目が増え、我々がその受け皿になり得たということ。ただ、当然、検査は商材によって異なるので、新しい商材が入るたびに、どのようにしてオークションで売買可能な品物に仕立てていくか、という様々な努力が間違いなくあった。そこにはきちんと対応してきたし、これからも対応していく。

Q.総合機械とバントラは、同日開催で一本化したが、それについては
東馬氏 買い手にとって何が良いかを考えた結果であって、バイヤーがより買いやすいということは、出す側にとっても売りやすいということ。つまり、これも会員の利便性を考えてのことだ。現在、総合機械は火曜日、バントラは土曜日に全国の会場を繋いで開催する体制を構築し、どこの会場で売っても同じ値段が入る。そういう努力をこれまで重ねてきた。

Q.4輪では企業系AAトップの高成約率会場となった。その秘訣は
東馬氏 我々にとっては、売れるようにすることが一番重要。なので、例えば「輸出のマーケットはこうなっていて、いま売るべきですよ」などの情報を出すこと。それが仕事だという観念が常にある。そして、我々にとって成約率というのは、他会場との差別化の指標という意識が強く、とくに大切にしている。いま4輪は小山、ベイサイドはともに8割以上で推移しており、仙台は90%超えと、より一層アップしてきた。

Q.「情報」という点において、めざす部分は
東馬氏 売れる商材がどのようなもので、世界のどこで必要とされ、どのように使われているかなど、マッチングの色々な情報源を整理整頓して、顧客にアドバイスできるような会場をめざしている。オークションはサービス業であり、情報が一番。情報のレベルをいかに顧客ニーズにマッチさせていけるか。そしてゆくゆくは、さらにその上をいく感動をしていただけるサービスにしていきたい。

Q.さて、11月11日には、遂にグループ7番目の名古屋会場がオープンするが
東馬氏 名古屋会場は車、電車ともアクセスが非常に良く、港湾エリアで輸出にも向いている素晴らしいロケーション。そして、トラック専門オークションとしてはマーケットの空白地帯。我々にとっては、その空白地帯を埋めるということだ。
 
Q.これまで開設準備室で営業をしてきた反応は
東馬氏 とても良い感触を掴んでいる。まず11月11日にバントラ、次いで21日に総合機械をスタートするが、両方ともに目標を超える出品台数の目処が立った。あとは、これを継続的にできるよう、会員の基盤を強固にし、一層、知名度を上げるなど、地道な活動に努めていきたい。名古屋会場は、とにかく軌道に乗せることが重要。この会場を皆様に評価いただいて、満足感のあるものにしていく。

Q.最後にオークションの全体的な今後の展望について
東馬氏 二次流通の中で、アライオークションがどのような機能を果たしていけるのか。それを自問自答しながら、できれば他社がやってないことに取り組んでいきたい。
 加えて、このオークションを長く安定したビジネスとして継続していくこと。我々は何のためにこの事業をやっているのか、単なる規模の拡大や利益の拡大ではなく、きちんと評価されて、長く続けられるビジネスにしていきたい。そう考えている。

Q.そのためには何をしていくのか
東馬氏 他からシェアを奪うとかではなく、他会場とは違うこと、あるいは他社にはできていない付加価値を会員に提供。業界の中で、他とは絶対に違うというものを、幾つ作り上げていけるのかが非常に重要だ。
 加えて、DXの技術等でマッチングのサービスをより工夫し、一層スムーズに取り引きを完結できるものを提供。オークションそのものの競争力は何かを、より突き詰めていきたい。
   

プロフィール=1957年4月生まれの66歳。1980年に三菱商事入社、最終は産業機械本部長。2017年に三菱オートリース社長に就任。21年8月に荒井商事入社、同年10月から現職に就いた。趣味はゴルフ。

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